商標事例 More Clean 7 併存登録例って、そのまま使える?

前回、以下のような併存登録例を見つけました。

MORE222232

moreclear

 

「モア」と「モアクリア」でしたね。

「クリア」って、せっけん類では、品質表示っぽい感じがするので、「モア」と「モアクリア」とが併存して登録しているであれば、歯ブラシに、「モア」と「モアクリア」とが併存して登録していてもいいじゃないですか。

そうやって、特許庁の審査官に言いたいわけです。

しかし、すぐに、がぶっと、かぶりついたらいけません。併存登録しているものには、「アサインメントバック」(アサインバックという場合もあります)によって、一旦、名義変更されたあと、名義を元に戻すという手法で、登録になっている場合があるからです。

たとえば、

先願の「モア」の商標権者が甲さんだとして、

後願の「モアクリア」の商標権者が乙さんだとします。

このとき、乙の出願は、商標法4条1項11号という条文で、拒絶理由通知となるのですが、拒絶理由通知のあと、乙の「モアクリア」を甲の名義に変更するのです。すると、甲が「モアクリア」を出願していることになるので、4条1項11号の拒絶理由には該当しなくなります。

4条1項11号というのは、他人同士にだけ適用になる条文です。

よって、甲の「モアクリア」が登録になります。

その後、甲から、乙に、再度、名義を変更します(商標権の移転登録申請です)。

そうすると、甲の「モア」、乙の「モアクリア」という併存登録例ができあがります。

上記のような契約を、アサインメントバックというわけですが、実務的には、たまに、このようなことが行われています。もちろん、甲乙同意の上、契約して進めていくわけです。

さて、上記のようなケースで、出願経過でアサインメントバックがあった場合、併存登録例があったとしても、「モア」と「モアクリア」とが類似しないという例としては使えなくなるわけです。

そこで、併存登録例を見つけたら、出願経過を確認しなければなりません。これが王道ですね。

次回は、出願経過の確認方法を解説します。

 

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