今回は、商標事例について解説させていただきます。
下記の商標「More Clean」ですが、歯ブラシの商標として使用するとのことで、ご相談がありました。
この事案は、独立する前の小笠原特許事務所で担当させていただいた案件です。
さて、実は、ご依頼者は、過去にも実は、同じ商標で出願をされていたのですが、下記の商標と類似するとのことで、出願が拒絶されて登録にならなかったとのことでした。
指定商品が「歯ブラシ」で、商標が「More Clean」です。
歯ブラシは、歯をきれいにする道具ですから、「Clean」は、単なる品質的な表示であるとして、識別力が弱いというのが、一般的に考えられる論理かと思います。
識別力が弱いという意味がよくわからない方もいらっしゃると思います。なかなか説明するのが難しくて、大変なのですが、ここでは、印象が弱いというような感じでとらえていただいていいと思います。
たとえば、指定商品が洗剤として、「ライオン」というのと、「スーパーライオン」というのがあった場合、「スーパー」があってもなくても、同じ製造者から販売されている洗剤であるとの印象を買い手は受け取ると思います。このようなときに、「スーパー」の印象は弱いので、識別力がないとか、弱いとか言います。そして、一般的な基準では、「ライオン」と「スーパーライオン」は類似すると考えます。
このような判断基準と同様にして、「More Clean」と「モア\MORE」とが類似であると過去の審査で判断されたとのことです。
さて、話を元に戻します。
この案件で、まずは、依頼者が過去に出願して本当に特許庁が拒絶したのかどうか調べなければなりません。
依頼者が勘違いしている場合もありますので。
このケースでは、依頼者がちゃんと、書類を保管していましたので、過去に拒絶された経緯は確かに確認できました。
しかし、私は、この案件を再度出願し直すことを提案しました。実は、過去に拒絶された経緯をみて、そのときに依頼された特許事務所の対応に問題があるとすぐに分かったからです。
それでは、このようなケースはどう考えていくとよいのでしょうか。次回以降見ていきたいと思います。