AIを使っているのは分かる。でも、弁理士が入った仕事は違う。

AIを使っているのは分かる。でも、弁理士が入った仕事は違う。

次期日本弁理士会会長の選挙公報では、「AI時代における主導権の確保」が重点政策として掲げられています。


「2027年度役員定時選挙 日本弁理士クラブが推薦する会長候補者」のご案内 – 日本弁理士クラブ

「主導権」という言葉もありますが、私自身は、今後1~2年で弁理士がまず取り組むべきことは、もっと実務的なところにあると思っています。

AIを使わないことではありません。

AIを使っていることを隠すことでもありません。

むしろ、

「AIを使っているのは分かる。でも、この明細書は弁理士がちゃんと入っている」

と言われる仕事を作ることです。

最近は、チラシでもSNS投稿でも、AIで作られたものが増えました。

見れば「ああ、AIっぽいな」と分かるものも少なくありません。

特許明細書も同じです。

AIを使えば、綺麗で大量の文章は、以前よりずっと簡単に作れるようになりました。

しかし、文章量が多いことと、良い明細書であることは別です。

重要なのは、

  • ・どこが発明の本質なのか
  • ・何を独立請求項に置くのか
  • ・どこまで一般化するのか
  • ・競合はどこを迂回するのか
  • ・将来の補正や分割をどう考えるのか
  • ・審査や係争で、どの部分が効いてくるのか

そうした判断です。

AIは文章を作ることには非常に強い。

しかし、その出力をどう設計し、どう評価し、どこを削り、どこを足すか。

そこには、まだ専門家としての経験と判断が必要です。

これからは、「弁理士が明細書を書く」というより、

弁理士がAIを使って、権利化に向けた道筋を設計する。

そういう仕事に変わっていくのだと思います。

将来的には、「AIで作ったかどうか」を気にすること自体が、パソコンで書いた文字を見て「手書きではないですね」と言わないのと同じように、意味を失っていくでしょう。

だからこそ、今の1~2年が大事です。

AIを使うこと自体では、すぐに差がつかなくなります。

そのときに差になるのは、

AIを使った結果に、専門家としてどれだけの判断と権利化に向けた思想を入れられるか。

だと思います。

AI時代の「主導権」が何を意味するのかは、いろいろな考え方があるでしょう。

少なくとも私にとっては、AIをコントロールすることよりも、AIを使った結果に専門家としての価値を加え、依頼者に返すことの方が重要です。

「AIを使っているのは分かる。でも、弁理士が間に入った仕事はやっぱり違う。」

当面、私が目指したいのはそこです。

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