【大合議事件】 被告製品の構造~本件特許発明2との関係~ その6

それでは、本件特許発明2との関係における被告製品の構造を検討していきます。

1.キャップ材29の不存在

下記が被告製品の内部構造ですが、明らかに、回転体の内部には、キャップ材29が存在しません。

なお、4bという部材は、キャップ材29ではありません。

 

 

 

 

 

 

2.軸受けの構造

軸受けの構造ですが、実は、黒い軸受けと白い軸受けの2つのパターンが被告製品1~9には存在します。

以下に写真を掲載します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3.判決はどうなるのでしょうか?

上記をご覧頂いてどのような判断になると思われますでしょうか。

(1)被告製品には、キャップ材29に相当する部材が存在しないので、知財高裁は、本件特許発明2の特許権を侵害しないと判断するのでしょうか。

(2)それとも、一審の判決のように、キャップ材29については、特許請求の範囲に記載がないのであるから、本件特許発明2の発明特定事項ではなく、被告製品を侵害すると判断するのでしょうか。

包袋禁反言によって、発明の要旨認定が狭くなっており、発明の要旨認定よりも、技術的範囲が超えることがないのであるから、被告製品には、キャップ材29が存在しないから本件特許発明2の特許権を侵害しないという結論になると、当職は信じています。

ただし、後者(2)の場合は、さらに、「弾性変形可能な係止爪」とは何なのか?という論点に進む必要があります。

長方形状の部位を含めて、弾性変形可能な係止爪であると、審決取消訴訟は、判決しているように読めますが、上記黒色の軸受けには、そのような長方形部材は存在しません。ですので、もし、後者に進んだ場合は、黒色の軸受けが、技術的範囲に属するのかという判断が必要になります。

なお、大合議の口頭弁論に至るまでには、白色の軸受けと黒色の軸受けの両方の合計の製造個数は証拠として提出されていますが、白色の軸受けだけの個数は、証拠としては提出されていないということを付言しておきます。

いよいよ、令和2年1月24日に、大合議事件の口頭弁論が行われ、双方から、15~20分程度のプレゼンがなされることになっています。

いままで紹介した論点以外にも、この事件には、多数の論点が含まれていますが、ここでは、最も重要であり、結論に影響するであろうと思われる論点だけを取り上げました。

もし、判決で挙げられる論点が、全く違うものであるなら、ご容赦ください。その場合も、改めて、このブログで、何が、問題だったのかを紹介させて頂きます。

3.最後に~無効審判の重要性~

技術的範囲の解釈に際しては、特許法70条2項が存在するのであるから、明細書を参酌できるから、発明が狭く解釈される余地があるので、無効審判を請求しなくてもよいと考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、このキャップ材29の論点は、おそらく、70条2項だけに頼っていたのでは、第一審の判決と同じように、回転体には、キャップ材29は含まれていないという判断であっさり、裁判所に切られてしまうだけだと思います。

なぜ、キャップ材29がクローズアップされるのか、それは、ここでは、無効審判で進歩性欠如を主張し、引用発明との対比の中で、明らかになったからなのです。

4.特許権侵害の被告になられた方へ

侵害訴訟の被告側に立たれた方には、くれぐれもその点を忘れずにいて欲しいのです。特許権者の中には、無理な主張をしてくる場合が多々あります。

前にも紹介しましたが、分割出願との関係で、その傾向が強いのが最近です。

また、審査官との密室の面接審査で、言い方は非常に悪いですが、被告製品を知らない審査官をだますような形で、広い特許を取得してくるご立派な弁理士もたくさんいます。

でも、本当に、それでいいのでしょうか?とは思います。

被告になられた方は、決して諦めることなく、何処かに、特許の穴が隠されているかもしれませんので、本当に、経験があって、真剣に事件に取り組んでくれる弁理士に相談して、なんとか、特許権者の言いがかりから、逃れるように頑張ってください。

このブログの記事が、少しでも参考になれば、幸いです。

繰り返しますが、分割出願で、変に広くなっている特許こそ、穴が必ずありますので、そのことは、忘れずに!!

かくいう私も、過去に分割出願で取得した特許で攻撃したことがありますので、どちらの立場からも、強みと弱みは分かっています。

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