商標事例 More Clean 4 結合商標の審査基準について

『結合商標の類否は、その結合の強弱の程度を考慮し、例えば、次のように判断するものとする。ただし、著しく異なった外観、称呼又は観念を生ずることが明らかなときは、この限りでない。 
(1) 形容詞的文字(商品の品質、原材料等を表示する文字、又は役務の提供の場所、質等を表示する文字)を有する結合商標は、原則として、それが付加結合されていない商標と類似する。 
(例) 類似する場合 
「スーパーライオン」と「ライオン」 
「銀座小判」 と「小 判」 
「レデイグリーン」 と「レ デ イ」』

は、結合商標の類似判断の審査基準です。

なかなか法律的な文章なので難しいかも分かりませんが、「形容詞的文字」といっているのは、上記の例であれば、「スーパー」、「銀座」、「グリーン」のところです。

「スーパー」であれば、商品のグレードが高いことを意味しているのでしょうから、商品の品質の表示であるし、

「銀座」であれば、商品の産地や販売地を意味しているのでしょうから、商品の産地の表示であるし、

「グリーン」であれば、商品の色でしょうから、商品の品質の表示であると言えます。

このような、「形容詞的文字」と、何か商標が結合した場合の類似判断をこの審査基準は示しています。

そして、原則は、「形容詞的文字」のある商標と無い商標とは、類似であると言っています。

「スーパーライオン」≒「ライオン」 
「銀座小判」 ≒「小 判」 
「レデイグリーン」≒「レ デ イ」

さて、これは、判断基準を示したものですが、商品を購入する需要者の視線で考えてみてください。

たとえば、商標「ライオン」という「洗剤」が販売になっていて、その横で、商標「スーパーライオン」という「洗剤」が販売になっていたとしましょう。こんな場合、買い手は、たぶん、同じ会社が販売している商品なのではないかなあと、感じると思うのです。

これが、仮に、別な会社から販売されていたとしたら、本当は、「ライオン」の方を買いたかったのに、間違って、「スーパーライオン」の方を買ってしまったということになると思います。

このように間違って買うことを「出所の混同」というのですが、商標法の目的は、「出所の混同を防止」することにありますので、需要者が混同しないように、「スーパーライオン」と「ライオン」は類似するので、この二つの商標を別人に登録させるということはしませんよと、この審査基準で、判断基準を示しているのですね。

至って妥当な判断基準だと思います。

「銀座小判」と「小判」についても、たとえば、和菓子にA社が「小判」を先に使って商標登録していたところに、B社が同じく和菓子に「銀座小判」を使い出したとしたら、需要者から見ると、「A社が銀座でも和菓子を販売しだして、それを銀座小判として売っているのだなあ」と感じることになると思います。

だから、「銀座小判」と「小判」は類似して、A社が先に「小判」を登録していたら、B社には、「銀座小判」の登録は認めないとしているわけです。

「レデイグリーン」と「レデイ」だったら、たとえば、自動車の商標として、「レデイ」というのを登録して使っているC社がいて、D社が「レデイグリーン」という自動車を販売したとしたら、需要者は、「ああ、C社のレデイの緑色の車種が出たのかな?」と勘違いすることになりますよね。だから、「レデイグリーン」と「レデイ」は類似するとして、先に登録したC社にだけ、登録を認めるということにしているわけです。

なお、同一人は、類似している商標も登録を受けられますので、C社であれば、「レデイグリーン」と「レ デ イ」の両方の登録を受けられます。他の例も同じです。

ここまでが、審査基準を分かりやすく解説したものですが、次回は、More Cleanの例で考えていきましょう。

 

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